【イベントご報告】恒例“アナログオーディオフェアを勝手に応援するイベント”『アナログを肴に、デジタルでクレージーに遊ぶ』(2017/6/10開催)

CATEGORY :  あれこれ思うこと
STAFF :  S弐号

アトミッククロックレベルの高精度外部クロックでDACを同期させてみたいとする人がいれば、クロックはDACチップの至近の設置が好ましいとして同じボード上に乗せたいとする人がいます。桁違いのとんでもないパワーを叩きだすクラスDのパワーアンプに心踊らせる人がいれば、レガシーなデバイスであるチューブと出力トランスを抱いたパワーアンプに思いを馳せる人がいます。数十万円/mのスピーカーケーブルこそオーディオの真価を発揮するのだとしてそれを素晴らしいと賞賛する人がいれば、「そこはね、実は電話線が最高なんだよ」と仰る人がいます。コンシューマオーディオ、特にハイエンドオーディオと呼ばれる世界に心を奪われた人々にはいろんな人が存在しており、そこにはいろんな考え方があるわけです。「自由」と言えばそのとおりで、好事家それぞれのお人柄をお見受けするのです。

 

「アナログオーディオフェアを勝手に応援するイベント」と銘打ったオリオスペックのカウンターイベントは今年で三回目を数えます。今回も大変多くのお客様にご来場頂きました。誠にありがとうございます。毎年このイベントテーマは、「 “拘る人とその想い” に焦点を当てたい」としています。いつものような“製品紹介”がメインテーマではなく、個性あふれるオーディオマニアな方のありのままのお姿を通じ「解釈も含めてオーディオは自由で楽しいものだったな」と改めて思い起こして頂きたいと願う、そんな趣旨の恒例イベントなのです。

 

今回の主役は我々の業界側の人にスポットを当ててみました。この方、オーディオ業界歴の大変長い中谷さんと申されます。自分の信じる音をそのままに皆さんへとお伝えしたい。そのためには労を厭わない。手は絶対抜かない。そういう方。これ、自分のリスニングルームに限れば誰でも出来る事なのですが、お仕事として外部のイベント会場にてその考えを忠実に実行できる方って、この業界内でもそう多いわけではありません。ひと言で申し上げますと、「真摯な方」なのですね。

 

 

▽中谷さん流のハイレゾバイナルプレイバックとは?

 

M2TECH JOPLIN2を使いつつ、中谷さんによる独自のアレンジでアナログレコード再生を行う手法を今回のイベントではご紹介しました。ハイレゾバイナルプレイバックと称するこの手法、オーディオステーションさんのWebに詳しいので、以下を是非ご覧ください。
Audio Stationさんブログ記事 その1
Audio Stationさんブログ記事 その2

 

このオリオスペックのブログでは、準備段階からイベント当日までの中谷さんの姿を画像と共にご紹介したいと思います。舞台裏、メイキングです。マニアのホンキ、存分に感じてください。

 

▽個人所有の機材一式を持ち込み、準備・撤収に対し強烈な手間が掛けたイベント

 

今回の機材はすべて中谷さんが実際にご利用なさっているものばかり。オリオスペック所有の機材はひとつもありません。と言う事は、「わざわざ運んできた」というわけ。一体なんでそうなっちゃったのか。そもそもはこのイベントの打ち合わせでした。プレーヤーをどうするか? 何を使うのか? その話題がキッカケだったのです。

 

「オリオスペックにあるレコ―ドプレーヤーでいいですか?」
「自分で使ってないからなんとも言えないなあ」
そりゃそうですわね。愚問でした(笑)

 

「ならばいつもお使いのプレーヤー、持ち込んでくださいます?」
「えー! 持ってくるの? いいですけど。じゃ、ウチの持ってきますよ」
あれれ?(笑)

 

「機材一式も要りますわね? なんなら今回は全部中谷さん仕様にしてみますか?」
「えー! 全部持ってくるの? いいですけど、そっちのほうがよく分かってるし」
ネタ振りに対してガチ、というお話(笑)

 

で、今回のパソコンはMacでした。なんでそうなったのか?と申しますと。

 

「アーカイブ用のアプリを走らせるパソコンはどうします?」
「Macで」
「うち、Windows屋なんですけど」
「32F/384でやりたいので普段のMacで。Windowsは384で上手く行かないのね」
「ハ、ハイ」

 

このイベントはいったいどこ主催なのか?(笑)
プレゼンターもやりやすいそうだし、ま、楽しければいいか。

 

▽考えるとよくわかる、普段使いの機材を持ち込むことの困難度合い

 

『解体 ⇒ 搬出 ⇒ 移動 ⇒ 搬入 ⇒ 設置 ⇒ 詳細セッティング』
これ、二日間で全部やるわけです。これには本番も含まれます。終わればこの逆もあります。

 

よく考えてみてください。自分のオーディオルームのセッティングって、何日もかけて苦労して詰めていきますよね?何日どころか何ヶ月かも。それをたった一日のイベントのために「よし、崩すぞ!」って覚悟を決める事が出来る。これ、同じオーディオマニアとしては驚愕しますし、その熱き想いに賞賛すらしたくなる気分。しかも今回はアナログプレーヤー。やってる方はわかると思うのですが、アナログプレーヤーってセッティングが決まったらあんまり弄りたくないし、そもそも外に持ってなんか行きたくないですよね? 「じゃ、ウチの持ってきますよ」との声を耳にして、私ホントに震えました。

 

▽設置と詳細セッティングも、なんとおひとりの手で・・・

 

機材を二台の車で移送しまして、屋内に搬入したら設置とセッティングです。こんな過酷な状況を乗り越えて機材を持ち込んだ以上、最後の詰めはやっぱり譲れなくなるものです。中谷さんおひとりによるノウハウ全開なショータイムが始まります。オリオスペックは記録担当(笑)

 

 

機材はいつものオリオスペックと全然違いますね。電源はPSオーディオのバカでかいのが来ました。これももちろんお持ち込み。「あるとないとじゃ大違い」と仰る。進行とオペレーションの観点から、今回は脇に操作系を集中させました。ちなみにプリアンプはB.M.C. DAC1PREHRです。普段ここに存在しているテーブルは撤去されました(笑)

 

 

スピーカー FOSTEX G1003MGとパワーアンプ B.M.C. CS2はこのとおり。真ん中には譜面台で立てかけた音響パネルも見えますね。左右スピーカーの距離は、このあと地べたを這い、メジャーを使ってミリ単位で調整されます。もちろんその間聴感でのチェックも行っていらっしゃいますよ。手を一切抜かないのですよ。素晴らしい!

 

 

ハイ、林檎なMac miniです。WindowsでもRitmoでもCanarinoでもない(笑) ハイレゾバイナルプレイバックと称するアナログ再生手法で利用する肝心の取り込み用アプリは Mac版のVinyl Studio。ビット深度とサンプリングレートは32F/384。中谷さんの譲れないポイント。Vinyl Studioの状況はモニターでみなさんにご覧いただけるようにしています、

 

 

 

今回主役のデジタル系機器。ADCはM2TECH JOPLIN2、DACはCHORD DAVE。これらの電源系やUSB I/F周りもiFI AudioやAurora Soundのアクセサリーで固めていらっしゃいました。背面の見えないところではありますが、アクセサリーに精通された中谷さんの本領発揮です。

 

 

 

アナログプレーヤーはドイツ・クリアオーディオ Performance DC TypeSとZYX R100 YATRA。共に現代的アナログレコードサウンドのいぶし銀的モデル。ミドルレンジクラスに位置づけられまして、インフレ化著しい狂乱な昨今のアナログオーディオ機器の中で良識を有したモデルと言えるでしょう。

 

 

▽本番も全力で。持ち込み音源もいっぱいです。

 

パワーポイントでつくられた解説用スライドとVinyl Studioの画面を行ったり来たり。楽曲の説明をして、レコードをかけて、サウンドの特長や操作について解説を加えて。中谷さんの想うM2TECH JOPLIN2を使ったハイレゾバイナルプレイバックサウンドの魅力を全力で伝えていらっしゃいます。それを受けてのお客様の様子も真剣です。真面目で楽しい中谷ワールド、信じた道に対して真っ直ぐ挑んだオーディオの魅力、想いが改めて伝わったのではないでしょうか。買う機器を選んでるだけが楽しいんじゃないんですよね、オーディオって。

 

 

 

今回ご選曲の課題曲がまた魅力で。スピーカーとスピーカーの間には80年代の空気が。声にシンセにリズムに、サウンドが移り変わった時代を想起させます。ハイレゾバイナルプレイバックと称するアナログ再生手法からも音源の空気はあの時代のままでした。持ち込みのアナログ盤の数もかなりの量に及んでいます。イベント時間から見ると絶対にかけ切れない枚数。個人的には、中谷さんおススメのHIROSHIMAというグループを知れたのが嬉しかったですし、Brenda K. StarrのI Still Believeが掛かったのにはカラダがビリビリと来ました(笑)

 

 

▽洋楽ポップスとそのチャートにめちゃくちゃ造詣の深い中谷さん

 

中谷さん、80年代洋楽ポップスの全米チャートに大変お詳しい。いや、詳しいというレベルじゃないな、データベースですわ。このイベントの後、お疲れ様会でちょっと一杯ひっかけたのですが、その居酒屋のBGMでこの時代の曲が流れていたのです。ビールを一杯口にして、「この曲、だれだれのなになに。80何年のリリースで全米チャート最高何位」とか次から次へと出てきます。お話によりますと、これはFEN仕込みと事。その昔、中谷少年はラジオの前に座って「うぉーこの曲知らねー」とか叫びつつ、ビッシリとノートにデータを書き込んでいたのだそう。そこまで好きか? しかも今だにそんな細かい事を覚えてるのか? というお話ですね。これ、愛だと思います。個人的に思うところ、もうオーディオがどうのとか音がどうのなんて野暮な事はどうでもよくって、中谷コレクションの洋楽LPを解説付きで延々と楽しませて頂きたい気分です。音楽聴いてるのがきっと楽しいんだろうなあ。

 

 

<補足>
今回は何をしようとしたのか? それはADコンバーターであるM2TECH JOPLIN2を核にしてアナログレコードをメディアコンバートして聴こうとしたわけです。デジタルの音色はアナログの音色とやはり違いますので、アナログのギミックでデジタルサウンドを堪能しようとしています。CDリリース以降デジタルがメインメディアになって既に30年を超えます。低音の質感などはデジタルの音色の方がしっくりくるんだ、という方も現実にいらっしゃいまして、そういう皆さまにはメディアコンバートする手法、きっと有効に作用すると思います。

 

再生中のアナログレコードの音をリアルタイムで処理しモニタリングするわけですので、これにはDACも必要になります。JOPLIN2の場合、デジタル信号をSPDIFやAES/EBUで出力する方法もあるのですが、この場合は上限24/192のデジタル出力になります。今回の中谷さんによる手法の場合は32F/384での処理を考えていらっしゃいますので、JOPLIN2のUSB出力からMacに入力しています。Macではアーカイブ用のアプリケーションとしてVinyl Studioを走らせていまして、JOPLIN2のデジタルデータはまずこのアプリに吸わせて32F/384で処理させます。Vinyl Studioで32F/384化したデータは再びMacよりUSBでリアルタイム出力されまして、DACであるCHORD DAVEにてアナログ化されます。(実際にファイル化していなくてもサウンドモニター可能です) Vinyl Studioから見ますと、入力用のサウンドデバイスはJOPLIN2、出力用のサウンドデバイスはDAVEとなっていまして、云うなれば Vinyl StudioでJOPLIN2からDAVEにデジタルデータをルーティングしている形になっています。

 

この時中谷さんが独自の視点で行っているのが、アナログレコードのイコライザカーブの設定変更です。簡単に言うと、JOPLIN2に搭載されている多数のイコライザカーブを自由な発想で切り替ることによって最後の出音を基準にチューンしてみよう、というわけです。アナログレコードのイコライザカーブはメディア記録時のバイアスですので、本来なら切られた時と同じイコライザカーブ(真逆な特性のカーブ)を持ってデコードするものです。(今回は80年代洋楽がテーマなので基本的にRIAAになるはず) 踏まえ出音のチューンは、デコード後のフラットなサウンドを基準に再びEQを掛けることによって変化をつけるのが一般的な手法になると思います。が、中谷さんの場合はそのような理屈に囚われず、AD化した時のタイミング、すなわちJOPLIN2が行うデジタルドメインでのイコライザ処理時において、プリセットされた他のカーブも含めて自由に選択し、自らが好ましいと思う、しっくり来ると感じるサウンドに変えてしまおう、となさっています。想像するにカーブの選択によっては歪みなどのリスクも考えられますし、またセオリーとは外れますので、この手法には賛否両論あるものと思います。が、「自らが満足するために存在するコンシューマオーディオはその人なりの自由な発想が許容されており、結果良ければ無問題。それで楽しければ万々歳」という楽しみ方も確かに存在しているわけでして、今回の中谷さんの手法はそちらの立場に立たれていらっしゃいます。「堅くならずにもっと楽しもうよ」とするプレゼンターの趣旨、ご理解頂けますと幸いです。

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